Beranda / ファンタジー / 彩雲華胥 / 3-23 ふたりの神子

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3-23 ふたりの神子

Penulis: 柚月なぎ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-08-25 10:44:18

 その中は真っ暗闇だった。

 どれだけ歩いてもなにも変わらず、やはり自分には契約などできるわけがないのだと思ってしまう。しかしこの暗闇は不思議で、自分の姿だけははっきりと見えるのだ。だからこの空間は本物ではなく、創られたものなのだと妙に納得してしまう。

「捜すにしても······どこをどう捜したらいいんだろう?」

 ひとり言になるとわかっていても、不安を消すために口に出してみる。目印などあるわけもなく、とりあえず前に進んで行く。

「······あれは、」

 またしばらく歩き続けていた時、ある変化が訪れる。白い光を湛えた鳥が小さな翼を羽ばたかせて飛んでいく姿が目に入った。それは唐突に目の前に現れ、無明はそれを目印にして歩を速めた。

 だんだんと近づいてくるその光の鳥は、無明の歩幅に合わせるようにゆっくりと羽を上下させ、少しすると顔のすぐ横を飛んでいた。そして急に目の前に飛び出て来て大きく翼を広げたかと思えば、小鳥のような大きさから孔雀のような大きな光の鳥へと姿を変えた。

 無明は思わず足を止める。

『さあ、私について来て』

 鳥が羽ばたくと、光の羽根が数枚舞った。暗闇の中で唯一そこに存在している光は、大きな翼を広げて前へ前へと進んで行く。無明は足早にその光を追う。その光はだんだんと大きくなり、やがて真っ暗だった視界が真っ白に染まった。思わず瞼を閉じて立ち止まり、右腕を顔の前に翳してその光を遮る。

 気付けば強い光は止みゆっくりと目を開けると、その先に広がっていたのはどこまでも広い空間だった。そこは青い空が果てしなく続く空間で、足元には踝くらいまでの水面が空と同じようにどこまでも広がっていた。

 透明な水面に天井の空が反射して、上下に空があるのかと錯覚してしまう。幻想的な空間に、ぽつんと取り残されたかのように無明は立っていた。

「ここは······、」

「ここは契約の間。神子の記憶が交差する場所」

 その声に、思わず振り返る。

 自分とまったく同じ声。

「君、は······だれ?」

 そこに立っていたのは、黒い衣を纏い、無明が少し前まで付けていたような仮面で顔を覆った白銀髪の少年だった。長いその白銀髪は膝の辺りまであり、老人の白髪とは違い艶やかで美しい絹糸のようだった。

「私は、始まりの神子」

 仮面の奥の瞳は翡翠色をしていて、唇しかまともに見えないが、どこまでも穏やかなのはその雰囲気から感じ取れた。

「そして私が、その後に生まれた始まりの神子の魂を受け継ぐ者」

 今度は前の方で声が反響し、無明はもう一度そちらに顔を戻す。そこには、後ろに立つ始まりの神子と名乗る者とはまた違う雰囲気の、ひとりの少年がいた。

 奉納舞の時に無明が着た白い神子装束に似た衣を纏ったその少年は、鏡でも見ているかのように無明と瓜二つで、まるでここに広がっている空と水面のようだった。

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柚月なぎ
kyanosさま。 神子と同じ容姿を持つ無明。 神子であることは確定しておりますが、なぜ同じなのかという謎はこれから明かされていきます。
goodnovel comment avatar
kyanos
無明の姿はかつての神子と瓜二つなのか、 それとも無明を真似ている?
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